Perrotin Tokyoはこのほど、ニューヨークを拠点に活動するアーティスト、ダニエル・アーシャムの個展を開催いたします。
本展では、日本初公開となるアーシャムによる最新の絵画や彫刻作品が登場します。

独自に捉えるfictional archaeology（フィクションとしての考古学）のコンセプトを軸とした、ユークロニア（時間のない世界）の美的感覚を持つアーシャムは、その作品を通じて彫刻・建築・ドローイング・映画を用いて二つの「空間」や「状況」の曖昧な中間点を造形化・結晶化するとともに、“未来に残る現代の遺跡”の表現を追求します。特徴的な侵食した人工物や人物像を題材とした作品は素材に砂やセレナイト（透明石膏）、火山灰などのさまざまな地質物質を使うことで、まるで何世紀もの間土の中に眠っていた主体が発掘されたかのような印象を放ちます。アーシャムが作品づくりに選ぶのは、主に世界でデジタル化の進展により物理的なものがバーチャルなもので代用される脱物質化（digital dematerialization）の浸透に伴い技術的廃退が劇的に加速した20世紀後半またはミレニアルの時代のアイコニックな物・人です。ロマン主義とポップアートの間に存在するアーシャムの悍ましくも遊び心のある世界観の中で、現在・未来・過去が詩のように衝突しながら、時を超えて人々を魅了する幅広いカルチャーのシンボルやジェスチャーによる実験的アートが繰り広げられていきます。