開催概要

RAN FocusRAN Focus

開催回ごとにさまざまな国や地域のアートに注目するプログラムです。第一回目の今回は、台湾のアートにフォーカスします。台湾のアートシーンは非常に活気があり、近年、急速に国際的注目を集めています。RAN Focus [Taiwan]ではアートセンターである台湾当代文化実験場(※)のキュレーションにより7組のアーティストによるインスタレーション、ライト・アート、映像、パフォーマンスなどをご紹介します。国際的に活躍するベテランから新進気鋭まで参加作家の世代もさまざまで、作品もバラエティーに富んでいます。RAN Focus [Taiwan]は台湾文化部の助成により、台湾の熱いエネルギーと文化の多様性や豊かさを、日本に、そして世界に向けて発信します。

※台湾当代文化実験場(Taiwan Contemporary Culture Lab) 台北で2018年に設立された台湾文化部傘下の機関により企画運営されるアートセンターで、文化的イノベーションの新たなエコシステムを構築し、文化の未来を考察する実験的ラボとなることを目指しています。



チェン・プー(陳普)

台湾出身、同地在住。形態学や生物考古学の視点を結び付け、絵画を創作の起点としながらもデジタル・メディアを駆使した多様な作品を制作しています。インクやペンを用いて描いたイメージを、2Dや3Dアニメーション、AR、NFT、インスタレーション、ワークショップなどに発展させることで、仮想と現実世界をつないでいます。アムステルダム市立美術館をはじめ、パリ、ハンブルグ、広州、台北など世界各地で作品を展示。

●展示場所:東京ミッドタウン プラザ1階



ツァイ&ヨシカワ

台湾出身の蔡筱淇(ツァイ・シャオチー)と日本出身の吉川公野、ロンドン在住のアーティストデュオ。英国のロイヤルカレッジオブアートにて、蔡筱淇はテキスタイルを、吉川公野は彫刻を学ぶ。自然界の持つダイナミックなエネルギーや驚くべき存在に目を向け、サイトスペシックで幻想的な彫刻とインスタレーションを生み出し、アジア、ヨーロッパ各地で、屋内外を異空間に変えオーディエンスを魅了し続けています。

●展示場所:六本木ヒルズ ウエストウォーク2階



メイメージダンス

《沈黙の島―新たなる楽園―》2022年
撮影:リュウ・チェンシャン(劉振祥)

2010年に振付師ホ・シャオメイ(1963年台湾生まれ)によって設立された現代舞踊団で、《灰からの復興》(2018-2019)や今回上演される《沈黙の島―新たなる楽園―》(2017)など、力強いビジュアルと文化的要素を用いるスタイルを特徴としています。公演に加え、海外に住む才能豊かな台湾出身の振付家に台湾での作品発表や制作の機会を与える後進育成のプロジェクトも実施しています。

●展示場所:六本木ヒルズアリーナ



ウォーターメロン・シスターズ(西瓜姉妹)

《ウォーターメロン・ラブ》2017年
ビデオ 10分22秒

ユ・チェンタ(余政達、1983年台湾、台南生まれ)とミン・ウォン(1971年シンガポール生まれ)は、2017年にウォーターメロン・シスターズ(西瓜姉妹)としてコラボレーションを開始。1960年代の京劇映画やツァイ・ミンリャン(蔡明亮)の映画作品からインスピレーションを受け、自らの性自認を流動化させ、クィア姉妹として人間の性的解放への道をダンスで応援すべく、パフォーマンスや映像作品制作を行っています。

●展示場所:イグノポール1階(展示)/六本木ヒルズアリーナ(パフォーマンス)



ユェン・グァンミン(袁廣鳴)

画像提供:台北市立美術館

1965年台北生まれ、同地在住。台湾のビデオ・アートのパイオニアで、自作の撮影装置などを用いて映像芸術の可能性を刷新し、作品では人類が直面する諸問題を詩的に表現します。台北ビエンナーレ(1996年、1998年、2002年)、ベネチア・ビエンナーレ台湾館(2003年、2024年)、あいちトリエンナーレ2019などに参加しています。現在、国立台北芸術大学ニューメディアアート学部教授。

●展示場所:ジオットハウス1階



ジャン・ファンユー(張方禹)

撮影:ライ・ウェイハオ(賴威豪)

VJ(クラブなどのイベントで映像演出を行う人)からキャリアを開始。VJチームの結成やVJのプラットフォームの共同主催など、台湾のVJ文化に長年貢献してきました。光やスモークなどを中心に、それらとメディアとの関係、そして人間の知覚への潜在的な影響について探求しています。これまでの作品には、2008年の台北デジタル・アート・アワードを受賞した《オスロの熱帯雨林》や、2017年から2021年にかけて制作した《マルチイマージョン》シリーズがあります。

●展示場所:第3サンビル1F



シン・チー(辛綺)

シン・チー(辛綺、1993年生まれ)は、国立台南大学で水墨画を学び、2016年に「フェイク・ファイヤー・アトリエ(艸非火工作室)」を共同設立。以降、作品制作やキュレーションなど精力的に活動しています。彼女は、幼少期に過ごした台北での都市環境や風景の急激な変化から距離を置き、常に自身の生活を取り巻く時間や空間を守ろうとしてきました。近年では環境アートやランドスケープ・インスタレーションの制作を通じて「消えゆく風景」を表現しています。

●展示場所:イグノポール2階