
入江清美 Echo Forms 2キャンバスにアクリル 画布 レザーS60 2025
Information
9/26(金) 12:00〜20:00
9/27(土) 11:00〜20:00
9/28(日) 休廊
港区西麻布2-11-10 霞町ビル3階
03-5469-0355
Detail
入江清美展 余白図譜-Echo Formsー
2025 9月22日(月)~10月4日(土)
月・火・木・金 12:00~18:30 土11:00~18:30
アートナイト会期中・9月26日(金)12:00~20:00 27日(土)11:00~20:00
作家ステイトメント
空白は単なる背景ではない。それは絵画を呼吸させ思考するための根源的な空間である。私はその静寂に耳を澄ますことから制作を始める。
長年にわたり、「間」の存在を探求してきた。それは、東洋美術における余白の概念、そして西洋美術におけるミニマリズム以降の空白への意識的なまなざし、その両方の系譜に連なる試みと言えるだろう。しかし、本展「余白図譜 — Echo Formsー」においてその探求はよりダイナミックな展開を迎える。
過去の作品が、堅牢なマチエールと静的な構成によって、より単純化された瞑想的な空間性を追求してきたのに対し、今回は形そのものがより主体的に動き出し、余白との間に緊張感溢れる対話を生み出す。それは、20世紀半ばのヨーロッパで展開された「タシズム」や「パピエ・コレ」が無意識的な衝動を痕跡として定着させたように、理性的な構築だけでなく身体的な衝動が一つ一つの有機的な形となって現れた結果である。これらの形は、ポスト・ペインティング・アブストラクションの自由な色彩と形態の探求といった現代美術の遺産を受け継ぎながらも、特定の様式に安住することのない、現代的な抽象のあり方を模索する試みである。
画布とアクリル絵具の層が織りなす触覚的なテクスチャーは、偶然性と必然性を刻印する。画面に現れる不定形の「形(Forms)」は、無意識の断片、感情の残滓として互いに共鳴し合い、「こだま(Echo)」のように空間に反響する。それは具象的なイメージが解体され、抽象化の極限において立ち現れる新たなリアリティの断片なのかもしれない。
情報過多な現代において、私たちは絶えず外部からの刺激に晒されている。本展はそうした状況に対する一つの抵抗であり、意識的に「間」を作り出すことによって、内なる対話を取り戻すための 招待状である。観る者の視線がその空間を漂い、新たな経路を描き出すことで、この図譜は完成していく。
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