Courtesy of the Artist and Pace Gallery
Photo: Roman März
アリシア・クワデ 《Ad Idem Aliter X》
インスタレーション
Information
10月31日(土)10:00~11月1日(日)22:00
六本木ヒルズ 66プラザ
無料
Detail
本作は、「存在」と「隠蔽」の相互作用を探求する作品です。同一の形状でありながら異なる素材で作られた10個の「石」が、両面鏡によって仕切られた円状に配置されています。
これら互いに分身のような石が並ぶなか、鏡面ガラスの役割は鑑賞者の位置によって変化します。あるときは光を反射する面として、またあるときは透明なガラスとして機能し、ひとつの石をその分身と対面させます。ガラスはオブジェクトの一部を隠す一方で、もう一方の対応する部分を鏡像として映し出すことで、その形態を完結させます。
見る角度に応じて作品は異なる「現実」を立ち現れさせ、私たちの日常的な知覚のパターンや根本的な物理法則の双方に疑問を投げかけます。それは並行する存在形態の連続体を立ち上げると同時に、人間の知覚が持つ限界をも浮き彫りにします。
鑑賞者自身も常に、自らが観察しようとしているシステムの一部であり、不可避的にそのシステムが抱える固有の限界へと引き戻されます。
作品は現実についての最終的な結論を提示するのではなく、この「循環論証(circulus in probando)」から逃れられないという条件の中で、現実を捉え直すための多角的な可能性を開示していくのです。
Map
Artist
アリシア・クワデ
アリシア・クワデは、作品を通じて知覚の枠組みを解体することで、空間、時間、科学、哲学において普遍的に受け入れられている概念を探求し、疑問を投げかけています。クワデの多角的な制作活動は、彫刻、インスタレーション、映像、写真など多岐にわたります。彼女は、石、鏡、ランプ、時計といった日常的な物品やファウンド・オブジェクト(既製品や拾得物)を用い、現実の構造に関する深遠なテーマを探求しています。
銅、鉄、人工プラスチック、リサイクル素材といった要素の使用には、物理学と化学の双方に対する彼女の関心が反映されており、アートを通じて核心的な概念を融合させ、物質界の現象を検証しています。また、作品において選ばれた素材の錬金術的な特性を活用することで、時間を計測する仕組みや宇宙の起源を解明する枠組みなど、私たちが世界を理解するために用いるシステムの性質を解き明かし、形態、素材、構成を通じて複雑な概念を凝縮して表現しています。
制作を通じて惑星系、分子構造、数学的フレームワークを検証するクワデは、従来の思考様式に挑みながら、物理的・形而上学的双方の領域を探求し続けています。その作品はミニマリズムと結び付けられることも多いですが、彼女自身はコンセプチュアル・アートの視点を軸に制作に取り組んでいます。